特集:百貨店バッグ売り場の再生

- 銀座三越

- 西武池袋店(平場)
百貨店はもともと、高品質な商品が何でも揃い、誰でも買い物を楽しめる場所だった。しかし昨今、価格や利便性、ファッション性を切り口にした小売業態の普及で、その存在意義が問われている。
休日に家族で百貨店に出掛ける、それだけでイベントだったかつてのエンターテインメントな側面は、今や郊外型SCに取って代えられた感がある。ただ、それだけで百貨店が時代に合わなくなり、衰退していく業態だとは考えにくい。何より百貨店のように、展開しているだけでブランドイメージが上がる独特な環境は他にはないからだ。
百貨店本来のステイタスを復活させるため、各社はいま時代に合わせた売り場再編に取り組んでいる。特にバッグ売り場の見直しはそのカギを握る。
これまでも平場再編を繰り返しながら、花形だったバッグの売り場は縮小傾向にあった。その原因の一つには、海外ブランドなどショップと平場との格差がある。独自の切り口で平場を構築してもショップに比べるとどうしてもブランドの個性を伝えきれず、同質化していったのではないだろうか。
しかし新宿伊勢丹が、従来の仕切られたショップスタイルから高い敷居を取り払い、国産ブランドも一流インポートのバッグも一堂に見られる統一環境を作ってからは、消費者の平場に対する認識も徐々に高まっているようだ。平場の構成だけでなく、もっとフロア全体、館全体で顧客に訴求できるような、買い回り性の高い環境に取り組む百貨店も増えている。
自主編集ショップでブランドやカテゴリーを捉えようという試みや、期間限定で旬のバッグブランドを展開するプロモーションスペースなど、バッグの平場以外での環境やサービスと合わせ、百貨店がいま取り組んでいるバッグ売り場再生の現状を検証したい。

- 東急百貨店東横店(売り場イベント)

- 京王百貨店新宿店(イベントスペース)
銀座三越
回遊性を重視した売場構成で買い回りを促進
上質を求める顧客に向けて“銀座ならでは”のバッグを提案
今年9月11日、従来からの店舗(西側)を全面リニューアルし、新しい東側の店舗との一体化増床により、銀座・有楽町地区で最大規模の百貨店として生まれ変わった銀座三越。増床を機に婦人服飾雑貨の強化も図っており、地下1階から2階までの3フロアに亘ってコスメ&アクセサリー、ジュエリー、ハンドバッグ、婦人靴を集積。そのなかでもメインエントランスとなる西側1階ではハンドバッグ売場が大々的に展開している。
新生ハンドバッグ売場の特徴として挙げられるのが、回遊性を重視したフロア構成だ。来店客に対して分かりやすい環境面を提案し、売場で買い回るための工夫が施されている。
例えば、インショップスタイルで壁面に並んでいるグッチ、プラダ、ボッテガ・ヴェネタの3ブランドは、隣のブランド同士が壁で仕切られていない。3ウォールのショップが存在しないので、ブランド間を自由に行き来できるつくりになっている。インポートブランドを集積したゾーンも同様。イヴ・サンローランの横でセリーヌのバッグを見て、向こうにあるフェラガモも覗いてみようーーというように、来店客が自由に動き回れる環境となっている。
西武池袋店
編集売り場「トランスマーケット」とプロモーションスペース
脱同質化へ向け、平場を取り巻く環境から強化し
さらにブランドの認識をオケージョンに変換

- 世界中からキュートな雑貨をセレクトした「トランスマーケット」。今年3月に登場して以来、婦人雑貨フロアで買い回りの拠点に成長した
段階的に約2年半をかけた改装を終え、今年9月7日にグランドオープンした㈱そごう・西武の西武池袋本店。婦人雑貨フロアのオープンは一足早く、2008年9月に2Fの婦人靴、バッグ、洋品小物売り場を、11月には同じフロアのアクセサリー売り場を各々完成させていた。
2008年秋といえばその直後のリーマンショックにより、景気が大きく変わるタイミングでもあった。そのためリニューアル後すぐにMDの見直しを図ったが、景気の影響で展開商品の単価ダウンが進み、当初追求していた統一環境とのバランスに課題を残した。
この状況を改善するため婦人雑貨のフロアでは、昨年から逆に単価を上げる方向で売り場改造を進めている。陣頭指揮をとるのは、もともと池袋本店でバイヤーとしての経歴をスタートし、バッグの売り場づくりに関わり続けてきた婦人雑貨部・阿部正弘部長。2年前のリニューアル時には他店舗にいたが、1年前から池袋本店で見直しに取り組んでいる。
見直しを行ってから同売り場は順調に数字を回復している。リニューアル後の売り場再編のポイントについて阿部部長に話を伺う中で、百貨店平場の現状と今後の課題が見えてきた。


