“作り手の体温を伝える”をキーワードに
白いバッグを切り口にしたセレクトショップ
An ana-B
昨年11月、銀座8丁目の金春通りにオープンした「An ana-B」(アナビー)は、“白いバッグ”だけを扱うという、一風変わったコンセプトのセレクトショップ。商品構成をブランドや価格帯でまとめるのではなく、あくまでも「白」という切り口で、語るべき背景のある商品を軸に展開している。
ショップを運営する(株)アナビーの代表取締役兼店長の長島雄一氏は、もともと飲食業界の出身で、最初からバッグの専門店を目指していた訳ではない。長島氏の同郷の友人で現在でも出版の仕事をしている取締役副社長の金子仁哉氏と、以前の仕事場での後輩で今は広告関連に携わっている取締役の佐藤由明氏、この異なる仕事をしている3人が、何か新しくて面白いことをやりたいーーという漠然とした思いつきから会社を設立。自分達のやりたいことを互いに出し合っているうちに、「人が作った体温がきっちり伝わるようにしたい」という1つの考え方に行き着いた。
「見た目のスタイルやイメージなど、商品ありきでその価値を見せるやり方もありますが、私達の考え方をモノ(商品)に当てはめて言えば、それには色んな人が関わっていて、その人達のテクニックや背景、ストーリーなんかがもっと表に出てきてもいいと思ったんです。これまであまり見えてなかった部分までも商品の価値として示してあげたいという思いがありました」と、長島氏は話す。それからオープンまでの一年は、バッグの製造メーカーや工房、デザイナーと、色んな所にアプローチを掛けまくった。
「私達は業界の事を全く知らないので、最初は職人さんとまともに会話できませんでしたし、受注ロットなどの条件面でも相手にされないことが多々ありました。それでも最後には、私達の考え方に賛同いただき、熱意を感じていただいたメーカーさんやクリエイターの方々のお陰で、オープンに漕ぎ着けることができたのです」
ショップを特徴づけている“白いバッグ”という切り口は、副社長の金子氏の「白いバッグってなかなか無いよね」という一言で決定。一般的に、白いバッグは“汚れが目立つ”と敬遠されがちだが、それを逆手にとり、汚れやすいからこそ自分のお気に入りのバッグは大事にするし手入れも行うだろうから、そのバッグにより愛情を見い出してもらえるーーと考えた。また、どのバッグも“白”という同じ土俵の中で顧客と向き合うため、ブランドの有名無名に関わらず、商品そのものの本質を見てもらえる。さらに、お客が目を向ける商品の傍らには、作り手のこだわりやバッグへの思いをストーリーとして綴った手書きのメッセージが、売り手の愛情として添えられている。
現在の取り扱いは6ブランド。今後も、合同展示会などをチェックしながらショップの考え方に共鳴するブランドやメーカーを探していくという。
「単にバッグを売るのではなく、“作り手の体温を伝える”ことをキーワードに、商品とお客様を繋ぐお店でありたい。買う側も売る側も、バッグへの愛情を表現できる空間であり続けたいと思っています」と、長島氏は述べている。
【ミツホ エノモト】
バッグ業界で永年のキャリアを持つデザイナー榎本光浦さんが展開する高級エキゾチックレザーのコレクション。妖艶で独特な美しさを持つエキゾチックレザー(爬虫類革)の魅力を活かし、彼女の持つ日本人離れしたセンスでデザインされたバッグは「一度は持ってみたい」と思わせる逸品だ。
また、商品販売だけでなく、榎本さん自身が講師となりショップ内でバッグのクラフト教室も定期的に開催している。
【ayay】
N.Y.出身のデザイナー依田 綾さんが手掛けるバッグブランド。ニューヨークでコンテンポラリーダンサーとして活動しながら レザーアクセサリーを作り始めたのをきっかけに、SOHOのショップで認められ、今や米国の有名セレクトショップでも取り扱われている。手作り感覚が息づくものへの愛着から、日本でも手縫い教室を主催するなど、手縫いにこだわったバッグを展開している。
このショップでは、商品を2週間“お試し”で使ってから、持ち手の長さや大きさ、重さ、形状、素材にいたるまで追加のオーダーが出来る手縫いのトートバッグを提案。顧客の細かいオーダーにも高いクオリティで応え、手縫いの魅力を伝えている。
【キクヒロ】
創業40年の老舗バッグメーカー・キクヒロが手掛けるオリジナル商品を展開。熟練職人の匠の技による品質の高さもさることながら、“デザイン”、“機能性”、“コスト”の3点にこだわり続け、使う人にとっての適正購入価格の中で、最高のパフォーマンスと個性を伝える商品に仕上げている。そのプロの仕事ぶりは、日本皮革産業連合会が主催する日本製の皮革を用いて作られた作品コンテスト「JAPAN LEATHER AWARD 2008」での入賞という輝かしい実績が示している。また、同社のプライベートブランド「Petrarca」(ペトラルカ)も販売。
【ハネハンズ】
今から40年前、カメラマンの波根正昭氏が自分用のカメラバッグを作ったのをきっかけに創業したブランド。自然豊かな伊豆にアトリエをかまえ、イタリアンレザーの高級素材にこだわりながら、色やパターンを自由に選んでもらうオーダーメイドのバッグを展開し、創業からの信条である“その人の人生にぴったりあったバッグ”を作り続けている。現在では伊豆の他に、イタリアで修業を積んだ息子さんの波根拓也氏が汐留にオーダーメイドのショップを開き、人気店へと発展させている。
アナビーでは既存商品の他に特別サービスとしてプレゼント専用のバッグも展開。波根氏自らが顧客と打ち合わせて、贈る人にあったバッ グを一緒に考えてくれる。
- An ana-b
- 東京都中央区銀座8-7-5
- 今春ビル1F
- 電話:03-6215-6060

