ブランド インデックス
●主力は人間力、アナログな営業企画
から生まれる新しい取り組みを強化/BAGGY PORT
●男女を問わす支持され続け今年20周年
ダコタ本来の革の魅力を再認識できる提案を
Dakota BLACK LABEL/(株)プリンセストラヤ
●50周年を彩るTOPGUNの限定商品『TOP GUN3』シリーズ/AVIREX
主力は人間力、アナログな営業企画から生まれる新しい取り組みを強化/BAGGY PORT
(株)バギーポートの昨年度(7月決算)は、値上げ等のマイナス要因が多い中でも卸先とのより近い営業企画の成果もあり、OEM・財布が好調に推移。前年並みの売上を維持した。また今年3月、10年ぶりに出展した合同展では、越境EC、靴関連、ゴルフアパレルなど販路拡大に繋がり、今後の新たな柱も見えはじめている。同社の現況と今後の取り組みを福井大器社長に伺った。
藍染財布の10周年企画など
好調なOEMと財布が売上げを牽引

Lima エルクレザー
北欧・北米に分布する世界最大のシカ、エルク(ヘラジカ)のレザーを使用した財布シリーズ。エルクレザーは特有の木目模様を持ち、もっちりと柔らかい手触りが特徴。5アイテム、¥16,500〜¥25,300

BAGGY PORT 本藍染クロコレザー
バギー初のクロコ本藍染。内装の革にも藍染の牛革とクロコの部分使いを施した。長い年月をかけて愛着が増していくプレミアムな逸品。3アイテム、¥121,000〜¥173,800
──メンズ市場での状況はいかがですか。
メンズ・レディスともに定番品の寿命が長い弊社としては、価格転嫁に苦心してきましたが、卸先様のご理解をいただき、価格改定後も変わらないお取引きをいただいています。状況としては全体的に厳しいものの、卸はお取引き先との関係強化、直営はコロナ禍から前期まで取り組んだ不採算店舗のクローズなど効率化を図り、年間テーマにトライ&エラーを掲げ、各部署が積極的に行動した結果、2025年7月末決算は売上げが前年比100%のまま、増益での着地となりました。
またECについては、前期は人気アイテムに売上げが偏ったものの、今期は広告効果や新作アップの迅速化を図り、 幅広いアイテムで売上げが構成できました。ただEC部門の人員が自然と縮小した事情もあり、こちらは前年比95%です。来期に向け、カード決済の充実などサイトの全面リニューアルを進め、顧客満足度やサービス向上を図ります。
──卸で好調な商品は。
弊社の柱でもある財布は、市場の好不調の波にあまり左右されず、変わらず安定しています。特にクードゥーやエルクのような希少性のある革を使った商品、独自性のある商品は好調で、息の長い展開に繋がっています。また今年10周年を迎えた藍染財布は、10周年企画フェア等でお取引先と直営店でかなり盛り上がり、6月末までの直近1年間で2桁の伸び率を達成しました。
バッグでは、ここ1年の新作の中で、これぞバギーという素材感の黒さび帆布やタイガー帆布、それに今どきの素材で軽量・防水・耐久性を備えたグリンザシリーズが、常連のお客様はもとより新規の顧客拡大にも貢献しています。
──好調の要因は。
お取引先としっかりと取り組んだ結果、OEMや財布部門の好調に繋がり、低調なレディスブランドをカバーできたことが大きな支えになっています。藍染10周年の好調はまさにその成果であり、今後もより強固なお付き合いで活性化を目指せると考えます。
──創業以来力を入れてきた営業企画の取り組みですね。
各ブランド担当者が実際に売り場で見て聞いて、それをモノづくりに反映するというアナログな営業企画スタイルにこだわってきましたが、さらに加えて、経営陣同士のやりとりの機会も積極的に増やしています。
状況が悪い中でもお取引先とのそういう機会をいただくことで、売り場の生の情報を聞けるだけでなく、「今こんなことを考えています」とか「こんなことはできませんか」という具体的な話になり、実際そこから色々な取り組みに発展することもある。
例えば、新潟の主要お取引先にOEMのご提案で伺ったのですが、店舗数や在庫の問題があって今は難しいが「それでも何かできることを」ということで、一つの業態店舗の一画を構成するフランチャイズを導入していただけることになりました。こういった話ができるのもアナログな営業企画のおかげで、いくらAIが発達してもやっぱり主力は人間だなと痛感します。作業効率のような部分では捕捉的にAIに頼っても、提案の部分では直に人に会う営業企画にこだわっていたいですね。

BAGGY PORT ジャングルクロス
N-1デッキジャケットに使用されるジャングルクロスを使用。高密度に織り込まれたこの素材はハリコシがあり、しかもきめ細かい手触りが今までにない感覚。アイテムは収納力のあるショルダー2型とトート。¥18,150〜¥23,100
新素材を取り入れながら
今後もブレないPBと柔軟なOEMの両立を
──取引先とのやり取りの中から、今メンズ市場の動きで変化を感じることは。
団塊世代からX世代が中心だったマーケットが、 X世代からZ世代中心のマーケットに変遷したことを感じます。それに伴いメンズ市場の流れが、レディスほどではないにしろ早くなっています。定番で売れ続けるものがある一方で、昔みたいにずっと定番で通用するという市場では無くなりつつあります。
価格もZ世代は今までの価格の半分くらいのところがボリュームになっています。そこに向けた提案ももちろん大事ですが、あくまでも一部です。それ以上に弊社の武器を最大限に活用したものづくりに再注力し、ブランド価値を卸先様と一緒に再構築していきたい。主軸はあくまでも35〜50歳の流行に敏感でいながら、いいものを長く使う世代。そこは昔から変わらず追求しています。
──秋冬に向けての提案で力を入れている商品・素材は。
財布では好調な藍染に初めてクロコの本藍染を導入しました。バッグでは主力の帆布が創業以来定着していますが、今後も長く提案していくためにも、新味のある素材開発にも力を入れています。従来の無骨な魅力に加え、同じ帆布でも飽きさせない素材使いで、最近では黒さび帆布、倉敷のタイガー帆布と展開してきましたが、新たにUSネイビーのN1デッキジャケットの素材ジャングルクロスを使用した新シリーズを発表しました。
また新素材、新商品の開発を進めていく一方で、定番アイテムの再活性化にも注力しています。展示会では新作中心の提案となっているため、なかなか定番アイテムの良さを再認識してもらう機会が少ないが、実は長年続いている定番や、廃盤になった商品の中にも、直営店では今だに根強く売れ続けるアイテムも多く、そういった直営店運営のメリットをフィードバックしながら、今後は展示会でも定番の良さを伝えられる機会を増やしていきたい。
──今後に向けて抱負を。
オンリーワンのブランド価値を見出していくことが、メンズ市場で生き残る術と考えています。今まで以上に、“ブレないPB”と“柔軟なOEMでの企画”を両立させていきます。そして昨年11月から進めている“新しい販路”の拡大も、数年後にはバギーの柱にしていきたいですね。

BAGGY PORT タイガー帆布
9号帆布にバイオ加工とパラフィン加工を施した倉敷帆布社製タイガー帆布を使用。軽量・高密度でビンテージ感があり、使うごとにデニムのようなあたりが出てくる経年変化も魅力。ショルダー5アイテム、¥12,100〜¥19,800
男女を問わす支持され続け今年20周年
ダコタ本来の革の魅力を再認識できる提案を
Dakota BLACK LABEL/(株)プリンセストラヤ
(株)プリンセストラヤ(梅田博章社長)のメンズ/ユニセックスブランド「Dakot a BLACK LABEL(ダコタ・ブラックレーベル)」は、2005年のデビュー以来、レデイスブランド「Dakota(ダコタ)」譲りのファッション性と革を中心にしたこだわりの素材使いから、女性も認めるメンズブランドという独自のポジションを確立した。今年ブランド生誕20周年を迎え、ブランド強化に取り組む中、これまでの状況を商品部第4ブロダクトグループ次長・北村和弘氏に振り返っていただいた。
「レデイスのダコタをベースにしたメンズバッグということで、デビュー当初より一般的なメンズバッグとは一線を画した作りになっており、繊細なデザイン、それから素材感の表現といった部分で男女ともにご支持を頂いてきました。メンズ市場ではこの一年、レデイスと同様に化繊商材に比べ皮革商材の苦戦といった流れが続いておりますが、このような作りが一定の評価を頂き、お陰様で苦戦しながらも健闘している状況です。
これは特にダコタとダコタブラックレーベルが一緒に展開されている売り場では顕著で、逆風の革ものも前年同様の動きを維持しています。一方で競合するメンズブランドの中での構成ですと、どうしても機能的なナイロン商材などが注目されがちです。もちろん防水性や軽さ、表現のしやすさなどナイロンにはナイロンの良さがあり、ダコタブラックレーベルでも素材として取り入れたシリーズをいくつか展開してきました。ただやはりメインは革ものという方針はブレずに展開してきましたので、今後も化繊中心のメンズと並べても魅力に感じていただけるような革ものに注力していきたいと考えています」。
秋冬はシーンを想定した繊細な革ものを強化
復刻トートなど20周年企画も充実
ダコタ本来の良さである革ものを強化するため、5月の展示会では秋冬の新作を全て革もので提案した。その一つが20年の歴史の中でもっとも人気の高ったアイテムの復刻。これは 2009年に発売されたボーノシリーズのトートで、20周年記念の企画として復刻販売する。アイコン的なこのアイテムを一つのきっかけにして、今低迷してる皮革商材をもう一度見直したい考えだ。

ダコタブラックレーベルは1000を超えるアイテムを展開してきた。そのアーカイブから抽出した歴代アイテムを使ったPOPとともにノベルティを配布する

2009年に販売し好調だったBUONOシリーズのトートを復刻。伝統的な革の鞣し加工はそのまま、今回は素材のグレードを上げ、国産で作られている。¥88,000
また20周年企画としては、ダコタブラックレーベルを買われるお客様に、秋口から20周年記念の革製ノベルティを配布する。ノベルティとはいえ本格的な革アイテムで、同社の革製ペンケースをベースに日常使える汎用性の高い小物入れとして作られたもの。「毎日革を手に取っていただき、革の良さを再認識できるように」と考えられた企画だ。
他にも5月展で発表した新シリーズで、革による新しい切り口のものをいくつか提案している。例えばノームシリーズは、今までナイロンを使っていた人が、初めて革ものを買う時の選択肢になるようなものを意識し、エントリープライス的なシリーズとして登場。これは男性がH常持つ時、どうしても使いやすいナイロン系を選びがちな中で、革ものでも手入れがしやすく、日常使いたくなるような汎用性の高いバッグを提案している。

革を初めて持つ人向けのエントリー商品として登場するNORMシリーズ。キズがつきにくいので手入れしやすく、容量もあってシンプル。毎日気兼ねなく使える“究極の普通”。¥29,700

そしてさらに普段使いに特化した、サイズ展開のルークシリーズも新しい提案。ビジネス用途のメンズバッグでは収納力があって機能も充実したものが注目されるが、普段使いに特化するとそこまでの大きさは必要なく、実際にお客様が使われるシーンを想定し、使いやすい3つのサイズを提案した。
ダコタ譲りの繊細な機能や表現はダコタブラックレーベルの強みだが、実際レデイスブランドのものづくりに携わってきた女性デザイナーが今回もすべてを企画している。女性目線でトレンドと市場のニーズを取り入れてきた高いスキルを生かし、この2シリーズ以外にも、革が厳しい今だから訴求できる革ものを充実させている。

普段使いを想定して作られたROOKシリーズ。仕事以外でバッグを持つ時、財布・スマホ・ペットボトルなどを持ち歩くのにちょうど良い3サイズ。¥33,000・¥38,500・¥42,900
「ブレずに皮革中心にダコタプラックレーベルの作りを追求していく上で、ジェンダーレスという時代背景は追い風になっているのは確かです。レデイスとメンズを一緒に展開していると、女性がメンズをお買い求めになる場面が非常に多く、逆に男性がレデイスのダコタを買われることもあります。この部分を強みとして、レデイスだけでもメンズだけでも表現しきれないものを、皮革に興味を持っていただけるお客様に幅広くご提案できるようにしていきたい。基本的にはシンプルなデザインで素材感を魅せていくデザインですが、男女で共有して頂けるシーンとか、オケージョンに合ったサイズ感ですとか、今後もダコタブラックレーベルならではの切り口でメンズバッグを提案していきたいと思っています」。
50周年を彩るTOPGUNの限定商品
『TOP GUN3』シリーズ/(株)ロワード

「トップガン(TopGun)」とは、アメリカ海軍戦闘機兵器学校の通称で、エリート戦闘機機関であるパイロット上位1%のパイロット達の空中戦技を指導するために作られた養成機関。1986年に公開された映画「トップガン」で主人公が着用していたG-1は、アメリカ海軍で採用されていたフライトジャケットを代表する型番のひとつ。これまで米軍に数多くの優れたミリタリーウェアを公式に納品してきたアヴィレックスが、G-1をタウンユースに改造したモデルとして展開しているのが「G-1 トップガン」で、「AVIREX」ブランドを代表するレザージャケットとして知られている。
「G-1 トップガン」のディテールやワッペンをカバンに落とし込んだ特別なシリーズ
●ヴィンテージ調に仕上げたエンブレムワッペン
カスレ調の糸でヴィンテージ感を表現
●付属金具はマットブラックコーティング仕様
●一度ウォッシュド加工を施した生地を使用し
異素材MIXで構築したカバンを再現
●切りっぱなしの牛革を採用
ONE SHOULDER
定番のロングセラーモデルをアップデート
AVX305N
W19×H40×D9㎝
¥11,990

20 年以上のロングセラーを誇る人気の定番商品で、フライトジャケットにあるモチーフを落とし込んだ2025 限定モデルのワンショルダー。メインルームはB5 サイズ対応で、縦に500㎖ペットボトルも入る。外側にはホック開閉のフラップ付ポケット、ダブルジップ開閉のミニファスナーポケット、両サイドにメッシュポケットがあり、取り外し可能なポーチも付属。カーキとブラックの2色展開。
Mini HELMET BAG
ミリタリーの定番ヘルメットBAGをデイリーサイズで再提案
AVX3528N
W27×H22×D6㎝
¥8,800

ミリタリーテイストをより感じさせるヘルメットバッグを、日常使いに最適なコンパクトサイズで再提案。ハンドル手持ちの他、取り外し可能のショルダーで肩掛け・斜め掛けスタイルにも。メインはA5収納サイズで内外のポケットも充実なので、必要な身の周りアイテムをすっきり持ち歩けるのが嬉しい。カーキとブラックの2色展開。
SHOULDER
定番のショルダーアイテム
サイドポケットも充実
AX1170N
W28(37)×H29×D10㎝
¥10,120

メンズの定番アイテムで、書類も収納可能なショルダーを、2025年特別仕様&数量限定でリリース。ミリタリーウェアのライナーキルティングのステッチテクニックや微配色などを特徴に、コンパクトながら見た目以上の収納力も魅力。カーキとブラックの2色展開。
Mini SHOULDER
ショルダー、ポーチ、どちらでも
活用できる便利アイテム
AVX3521N
W25×H17×D6㎝
¥9,130

普段使いはもちろん、財布やスマートフォンなど身近な小物収納にぴったりのサイズ感で、幅広いシーンに活躍できるミニショルダーは、女性でも違和感なく持てるユニセックスな仕上がりに。ハンドル手持ちの他、取り外し可能なショルダーとチャームがあり、3パターンの持ち方が選べる。A5サイズの内装にはポケットも豊富で、小物アイテムの仕分け収納に便利。カーキとブラックの2色展開。
東京都千代田区東神田3-4-5
1947年、鞄・袋物の製造販売業として創業。78周年を超えた今もなお、常に素材の研究や縫製技術の研鑽に努めながら、様々なライフスタイルに対してバッグの在り方を提案し続け、全国の有名専門店・セレクトショップを中心に、時代のニーズに対応した高品質のバッグを展開し、数多くの商品をエンドユーザーに届けている。