2024/08/20
(株)バギーポート(神戸・池上勝久社長)が立ち上げから主力にしている素材、帆布が好調を続けており、今年はさらに強化を図っている。
好調の要因は、素材のオリジナリティにある。生地メーカーとの共同で織りからオリジナル開発した帆布や、二次加工・三次加工で特徴を引き出した帆布を使った製品はどれも独特で、20年以上続いているロウ引きパラフィンのシリーズや備長炭帆布のシリーズなど、数々の定番シリーズを生んでいる。
同社では各ブランドに一人の専属デザイナーがモノづくりに取り組んでいるが、生地メーカーと対話しながら素材から作り込めるため、ブランドのテイストに合わせた微妙な表現に生かされている。
例えばレディスの「BAGGY’S ANNEX(バギーズ・アネックス)」は、レディスではあまり見られない肉厚な帆布の素材感を生かしながら、バイオ加工で優しい色と風合に仕上げたアーミークロスシリーズや、ヴィンテージ加工を施したシリアスバイオシリーズとして展開中。
またメンズでは、一時流行ったテクニックをリバイバルで表現するという切り口が新しい提案に繋がっている。「KOI(コーアイ)」から登場している製品染めもその一つ。生成りの帆布で作った製品を、デニムの産地である岡山・児島で染めてもらい、さらに鹿児島・桜島の軽石でストーンウォッシュ加工するという手間を掛けた帆布で、懐かしさだけではなく、若い客層も取り込んでいる。
同じリバイバルの切り口でも、「BAGGY PORT」の6号帆布切り目のシリーズは、帆布の耳の部分“切り目”を棄てずに生かしたもの。20年ほど前からあるこの表現をいまのサイズ感にリニューアルし、付属のヌメを変更して出した。この切り目シリーズは国内販売だけでなく、スイスの代理店を経由してヨーロッパでも人気だという。