2024/08/20
(株)プリンセストラヤ(梅田博章社長)のユニセックスブランド「Dakota BLACK LABEL(ダコタ・ブラックレーベル)」は、レディスブランド「Dakota(ダコタ)」譲りの素材と作りを強みに年々伸び続け、今年5月の展示会では前年との比較で受注高170%を記録した。
革ものが厳しい中でここまで好調なのは、他のメンズブランドにはない繊細な作りがジェンダーレス化する市場にマッチしたため。また10年ほど続いている定番でも、軽さを生かした馬革のホーストⅡシリーズが再注目されており、同じメンズの革ものでも繊細さが求められているのがわかる。
「男女でシェアできる」という提案
今シーズンは定番に加え、新たに日本製2シリーズとバングラデシュ製1シリーズを発表した。昨シーズンから引き続き“原点回帰”をキーワードに、ベーシックな中に独特な存在感のあるスタイル追求してきたが、担当MDの大野翔太氏によると今シーズンはさらに、コスパとジェンダーレスをテーマにブランディング強化を進めているという。
「コストパフォーマンスを高めるため、一つにはバングラデシュ製で追求してきた革ものの完成度をさらに高めています。そしてメインの日本製の革ものについては男女でシェアできる提案に力を入れました。国産の革で国産の作り、金具もオリジナルでとなると価格にかなり反映されてしまいますが、満足度の高いバッグを、ご夫婦など生活スタイルの近いカップルがシェアしてくださることで、コスパを感じていただけるんじゃないでしょうか」。
5月展では売り場に向けた提案として、イオシリーズの同じ型のバッグで男女それぞれのコーディネイトをディスプレイした(写真)。本来ダコタは女性の認知度が高く、ブラックレーベルもこれまで男女どちらでも持てるという切り口を得意にしてきた。その強みを生かした今回の提案は展示会でも好評で、今後も一つのカテゴリーとして引き続き力を入れていく考えだ。
素材の特徴を生かしながら
革と生地それぞれに意味のある作りを
一方のバングラデシュ生産による革ものは、同社の提携しているLWG認定工場で10年以上取り組んでいる。縫製レベルは年々上がり、ハンドステッチのような細かい仕事や小ロットにも対応しており、コストに対するパフォーマンスは高くなる一方だ。
革の仕上げも良く、顔料仕上げの多いバングラデシュ製レザーの中にあって、敢えて素揚げに近い革をオリジナルで作っているので、“経年変化するバングラ製革”というアピールにもなっている。
革以外のシリーズでは、前シーズンの高密度ミリクロスによる軽量なシリーズに続き、日本製でパラフィンキャンバスのシリーズをリリースした。シャトル織機で織った10号帆布にパラフィンコーティングした素材は、使っていくうちにヴィンテージ感のある味へと変化していく。
アウトドアの流れを取り入れたデイリーユースからレジャーまで、イオシリーズと持つシーンは違うが、やはりカップルでシェアできるユニセックスカジュアルとして提案する。
ダコタブラックレーベルの作る生地ものは、まるで革のような経年変化を特徴にするが、これは長年「ダコタ」で培ってきた革のモノづくりをベースにしている強みだ。今後はこの素材の強みをさらに生かしていくため、大野氏は革と生地をより吟味していくという。
「革で作るものと生地で作るもの、それぞれに必要性があって意味のある素材選びと作りに注力し、ダコタブラックレーベルらしい素材の良さをさらに伝わりやすくしていきたい。また伝わりやすさという点では、革のバッグと財布での親和性も高めていきます。もともとバッグと財布で売り場が異なることから、企画もそれぞれ別のチームが動いており、微妙に雰囲気が変わることもあります。今後はこの辺を見直しながら、統一感のあるブランドにしていきたい」。